2005年05月13日

イー・アクセス、ホリエモンに会社売っても良い発言に対する考察

イー・アクセスは12日に開かれた、2004年度(2005年3月期)の
決算説明会において、敵対買収があった場合ホリエモンに会社を
売ってもいいとの発言をし話題になった。
この発言の真意及び、同社のおかれている現状について考察を
行った。

まず、本題に入る前にイー・アクセスという会社がどういう経緯
でできたのか、当時のインターネット事情も含めてまとめてみた。

■インターネットの普及とイー・アクセス

イー・アクセスは、ホールセールスの草分けとして知られている。
ホールセールスとは、ADSL事業者(NTT)と提携しているプロ
バイダー事業業者の事をさす。
ホールセールスは、自前の専用回線網を持たない代わりに、
サービスを、
プロバイダ事業に集中できるため、結果的に、NTTなどの回線
業者よりも低価格でインターネットに接続できた。
さらに、当時としてはめずらしく常時接続定額制という方式を
とっていた。

当時、インターネットは、NTTの従量制が主流で、
料金定額のホールセールスは、儲からないというのが業界関係
者の一致した見解であった。
イーアクセスは、この状況を打開すべく、現在の社長である
千本氏がおこした会社である。
イーアクセスに代表されるホールセールス型は、料金が高い
NTTを尻目に首都圏で爆発的に普及していった。

このように、ホールセールス型が爆発的に普及したのは、
2つの要因が考えられる。

1つは、ユーザー層の間でも、常時接続定額制を望む声が
非常に多かった事。

2つは、時をほぼ同じにして、ホールセールスに参入して
きたヤフーBBがいた事である。

2社の競争がユーザーを巻き込み、ホールセールス型は大
きく成長する事となる。
この結果、日本国内のインターネット利用者は、飛躍的に
増加し、日本は、アジアで最もインターネットが普及する
国へ変わったのである。

■ヤフーとイーアクセスのビジネススタイルの違い
このように爆発的に普及していったホールセールス型であ
るが、ヤフーとイーアクセスは、ビジネスの手法は全く異
なっていた。
ヤフーは、オークションサイトの運営など、コンテンツに
大幅に力を入れたが、イーアクセスは、ハードウエアの充
実に力を入れて、純粋に回線屋としての事業に徹した。
この結果、イーアクセスは主力事業のADSL加入者数は
35万4000回線増の185万回線と順調に伸び(2005
5/12) 2004年に早々と事業の黒字化に成功した。
なお、AOLを買収する事によりはじめたコンテンツ事業も、
AOLの会員数が31万40000となり、コンテンツ事業での
成果も着々と上がっているように見える。
(AOLとして3年ぶりに加入者数が純増するといううれ
しい知らせもかなった。)

一方、年平均1.6%のADSL解約率が、四半期ごとに若干増
加する傾向が出ているほか
2004年第4四半期(2005年1−3月期)の加入者数の伸びは第
1四半期の16万9000回線を大きく下回る、2万2000回線に留
まった(なぜ、こうなったのかについては後述)

■イーアクセスの損益状況
このような好条件が重なる事により、
2004年度年間の売上高は579億1000万円(前年比152%)、営
業利益93億1000万円(225%)、経常利益80億7000万円(297
%)、純利益93億5000万円(496%)と、大幅な増収増益を果
たした。

■ホリエモンに売っても良い発言
このような状況の中で本題である「ホリエモンに売っても
良い」発言がなされた。
http://ascii24.com/news/i/mrkt/article/2005/05/12/655816-000.html
より、発言内容を正確に引用しておく

(引用はじめ)
イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本 倖生(せんもと
さちお)氏は、ニッポン放送とフジテレビを例に上げながら
「経営陣をプロテクトするという意味での御策は世界の基
準から見たらとんでもないこと」と指摘。
“ホリエモン”ことライブドア(株)の堀江 貴史(ほりえた
かふみ)氏などにも言及しながら「企業の価値を高めるよ
うな買収者が出たときには経営陣はすみやかに譲るべきだ」
と述べた。
(引用終わり)

このように発言する背景については、先に述べた、高い収
益性に対する自信を表すものだと思われる。
企業の価値を高める新規経営陣であれば、歓迎するという
姿勢は、逆説的には、自らの企業がいかに優秀であるかを
表しており、買収できるものなら買収してみろという強い
意志が感じられる。
 これは、株主への強烈なアピールとなり、ストップ安と
なった5/12の株価とは一転、5/13は急激な上昇となった。
実績に基づいたパフォーマンスが大きな効果を上げたもの
と思われる。

■イー・アクセスに忍び寄る陰
 ところで、業績好調なイーアクセスであるが、この好調
が将来にわたり続いていくのかと言うと、そうともいいき
れないようだ。
この件について、カーライルのイーアクセス株大量売却事
件を例に説明しよう。

これは、2004年6月に、イーアクセスの第4位株主で
あるカーライルが、イーアクセスの発行済み株式数の
12.7%である3万2699株を売りに出した事により、
株価が大幅に下落した事件である。

なぜ、彼らはこのような行動をとったのだろうか?
これについて、非常に興味深い解説をみつけた。

詳しくはこちらをみてほしい。
http://ma-investment.com/archives/2004/11/post_15.html
かいつまんで説明すると、

 この時期、日本国内において光通信網が大幅に整備され、
光通信回線利用者が激増する兆しがあったのである。
 通信インフラがADSLから光に変われば、ADSLを
メインとしているイーアクセスの業績は、今後大幅に悪化
するのではないか?
 カーライル側は、この事をみこして、利益が最大の今こそ
売りに出すチャンスと考え、大量売却に踏み切ったという
のだ。

 確かに、イーアクセスの業績が好調なのは、
事実である。しかし、現状を考えると、
この仮説は非常に真実みがあるのではないだろうか。
 イーアクセスの業績が急激に悪化するとは考えに
くいが、光通信が彼らの大きな脅威と
なっている事は疑いもない事実である。

ところで、イーアクセスには、ADSL以外にも、
もう一つの切り札がある。
1.7GHz帯での携帯周波数免許の取得に向け、5月に
は富士通(株)や米ルーセント・テクノロジーズ社と
ともに、1.7GHz帯を利用したW-CDMA(FDD方式)の実
証実験を開始する。というものだ。
移動体通信は7兆円もの巨大なマーケットであるが、
これはまだ、許可申請を出し、エントリした段階で
あるので、本当に割り当てが来るとは限らない。

いずれにしても、ADSLは今後縮小(どの程度に
なるのかは分からないが)に向かっていくと思われ
るので、この事業の成否がイーアクセスの今後の業
績を大きく左右するのではないだろうか。

posted by 羊羹にお茶 at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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